子どもの頃、ちょっと体調がすぐれない時に、親から「寝たら治る」と言われた経験はありませんか。何でも「寝たら治る」訳ではありませんが、この言葉はあながち間違いでもないようです。実際、睡眠には心身の疲労を回復する働きがあるといわれています。逆に、量・質ともに十分な睡眠がとれていないと、体調を崩す原因にもなってしまうのです。

体の健康と密接な関わりを持っている睡眠。今回は、そんな睡眠に関する知識をご紹介したいと思います。

睡眠と生活習慣病

日本人の三大死因である、がん・脳血管疾患・心疾患をはじめとした生活習慣病。その発症と睡眠には、深いつながりがあります。十分な睡眠がとれていないと、生活習慣病のリスクが高まり、かつ症状を悪化させてしまうのです。

慢性的な睡眠不足は、日中の眠気や意欲低下・記憶力減退など、精神機能の低下を引き起こすだけでなく、体内のホルモン分泌や自律神経機能にも、大きな影響を及ぼすことがわかっています。その結果、食欲が過度に増大してしまうなど、実際の行動にも変化をもたらしてしまうのです。

そのため、慢性的な睡眠不足の人は、糖尿病や心筋梗塞や狭心症などの冠動脈疾患をはじめとした生活習慣病にかかりやすいことが明らかになっています。

必要な睡眠時間は?

1日に必要な睡眠時間は、6時間以上8時間未満というのがひとつの目安です。

ただし、実際に眠ることのできる時間は、加齢とともに徐々に短くなっていきます。10代前半までは8時間以上、25歳で約7時間、45歳で約6.5時間、65歳で約6時間というように、20年ごとに30分くらいの割合で減少していくことがわかっています。また、必要な睡眠時間には個人差もあります。

そのため、睡眠時間が足りているかどうかを見極めるには、日中の眠気が大きな判断材料になります。仕事などの作業に支障をきたすような眠気に襲われる場合は、睡眠時間が足りていないとえるでしょう。

夜間に必要な睡眠時間がどうしても確保できない場合には、午後の早い時間に30分以内の昼寝をとることが効果的です。

質の高い睡眠をとるには?

では、質の高い睡眠をとるには、どうすればよいのでしょうか?
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠指針2014」を参考に、いくつかポイントを挙げてみました。

日中に適度な運動をする

昼間に適度な運動をすると、睡眠と覚醒のリズムにメリハリをつけることができます。中途覚醒が減少し、睡眠が安定し、熟睡感の向上につながります。

ぬるめのお湯に浸かる

眠る30分〜6時間前に入浴すると、寝つきがよくなり、深い睡眠がとれるといわれています。お湯の温度は40度程度が理想的です。42度以上の高温浴では、心身が目覚めて逆効果になってしまいます。

就寝前は暖色系のやさしい照明に

眠る前に普通の室内より明るい光の下に数十分いると、寝つきが悪くなってしまいます。また同じ明るさでも、青白い光や白っぽい光は、暖色系の光より覚醒作用が強いといわれています。就寝前は白熱電球のような暖色系の光の下でリラックスしましょう。

眠くなってから布団に入る

就寝の2〜3時間前は、1日の中でもっとも寝つきにくい時間だといわれています。眠くないのに早めに布団に入り、無理に眠ろうとすると、緊張して逆に寝付けなくなってしまいます。眠気を覚えてから布団に入るようにしましょう。

就寝前の飲酒を控える

寝る前の一杯が毎日の楽しみという方も多いのではないでしょうか。アルコールは、一時的に入眠を促進します。しかし、中途覚醒が増え、睡眠が浅くなってしまうので、熟睡感が得られなくなります。

就寝前のタバコを控える

タバコの煙の中に含まれるニコチンには、覚醒作用があります。そのため、就寝前に喫煙してしまうと寝つきが悪くなり、睡眠が浅くなります。

就寝前のカフェインを控える

カフェインには覚醒作用があるため、就寝前3〜4時間以内にコーヒーや緑茶、ココアなどを飲むのは避けましょう。カフェインには利尿作用もあるため、夜中にトイレに起きる原因にもなります。

睡眠の質を高めて、健康な毎日を送ろう

毎日忙しく働く人々にとって、十分な睡眠時間をとることは容易ではないと思います。しかし前述の通り、ちょっとした工夫や心がけによって、睡眠の質を少しでも高めることはできるはずです。わずかな睡眠の質の差の積み重ねが、長期的にみると大きな差を生むかもしれません。明日からと言わず今晩から、睡眠の質の改善に取り組んでみませんか。

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