前立腺特異抗原(PSA)の血液検査が前立腺がんによる死亡リスクを25~32%低減できるという解析の結果が、「Annals of Internal Medicine」9月5日オンライン版に掲載された。

PSA検査は、前立腺から分泌されるPSAタンパクの血液中の値を測定するスクリーニング検査。前立腺に異常がある場合に血液中のPSA濃度が高くなるため、前立腺がんの早期発見に繋がるとされている。

しかし検査の必要性については賛否両論があった。その背景には、前立腺がんは進行が遅く、多くの患者の死亡原因が前立腺がん以外の疾患にあること。また、検診による死亡リスクの低下を調べた2つの研究結果が相反していたことにある。

その研究とは、2009年に発表されたアメリカのPLCO研究とヨーロッパのERSPC研究。前者が検査に有益性はないとしたのに対し、後者は検査により死亡リスクは20%低減すると発表した。

この発表を受けて米国がん協会(以下、ACS)は12年、患者に研究結果を説明した上で検査を受けるかどうかは個別に判断することを推奨。一方、アメリカ予防医療作業部会(以下、USPSTF)は検査の実施に反対の姿勢を示した後、17年4月にACSに近い新たな勧告を発表したものの、依然として混乱が生じていた。

しかし2つの研究は遵守率や環境が異なっていたことが問題視されていた。そこでアメリカのフレッド・ハッチンソンがん研究センターのRush Etzion氏らが2つの研究データについて、同条件下で数学的モデルを用いた解析をしたところ、検査による死亡リスクの低下がERSPC研究では25~31%、PLCO研究では27~32%認められたという。

検査の有益性が認められたものの、Etzion氏は検査の積極的な導入には懸念もあるとしている。前述のように前立腺がんには進行が遅いなどの特徴があるほか、手術による性機能障害や失禁といった後遺症が起こるリスクがある。治療を必要としないがんに対しても治療が行われることで、結果的に患者のQOL(Quality of life=生活の質)が低下してしまうことが危惧されるためだ。

しかしこの解析により、検査のメリットとデメリットについて医師が明確な数値に基づき説明できるようになった。また多くの男性にとっても、検査を受けるかどうかを選択する判断材料の1つになったことは大きな前進と言えよう。

■参照記事
・QLife Pro
前立腺がんによる死亡リスク、PSA検診により25~32%低減
・アステラス製薬株式会社
前立腺がんのページ

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