スイスの医薬品メーカー・ノバルティスの次期CEOに昇格する、バサント・ナラシンハン氏(現グローバル医薬品開発部門責任者兼チーフメディカルオフィサー)が、就任を前にメディアのインタビューに応じ、日本における近々の方向性について明かした。

まず、IL-1β阻害薬「イラリス」を、がん治療領域にも適応拡大させることを検討していると話した。心筋梗塞の既往歴がある炎症性アンテローム性動脈硬化症患者を対象に投与したCANTOS試験において、心血管疾患の抑制効果だけではなく、肺がんの発症・死亡リスクの低下も認められたためだ。国内での適応拡大を目指し、18年に臨床第3相試験をスタートする予定だという。

また、薬が効いた患者にのみ支払いを求める「成功報酬型」の薬の販売について、日本政府に働きかけることを表明。成功報酬薬はイギリスやイタリアなどでも既に実施されているが、日本では前例がない。

申請するのは8月にアメリカで承認された新薬「キムリア」。遺伝子を操作したCAR-T細胞(ヒト免疫細胞)医療の薬剤で、急性リンパ性白血病の小児・若年成人向けだ。臨床試験では対象患者の8割に効果が認められた。

同薬は、1回の投与で済む治療だが、薬価が47万5千ドル(約5,300万円)と高額。アメリカでは1ヶ月後に腫瘍が検出されない場合にのみ、薬が効いたとみなして支払いを求める成功報酬薬となった。

同社は、18年6月までに保険対象薬として厚生労働省に申請する方針だ。成功報酬型になるかどうかで薬価は変わる可能性がある。導入されれば日本の薬価制度への影響も考えられ、今後の動向が注目される。

■参照記事
・日本経済新聞
効いた患者だけ薬代支払い ノバルティスが新方式
・ミクスOnline
ノバルティス・ナラシンハン次期CEOが本誌と会見「データサイエンスで革新的新薬生み出す企業目指す」

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