病院の受付で保険証を提示し、お医者さんの診察を受ける−−。
ごくありふれた日常の風景。しかし、私たちが高額な医療費を払うことなく、わずかな負担で当たり前のように診療を受けることができているのは、日本に「医療保険制度」があるからに他なりません。

私たちの健やかな暮らしを支える医療保険制度ですが、その内容をしっかりと理解されている方はそう多くはないのではないでしょうか。

ここで改めて、知っているようで知らない日本の医療保険制度を改めて学んでみましょう。

医療保険制度とは?

医療保険制度は、病気やケガに備えて収入に応じた保険料を徴収し、加入者やその家族など(被扶養者)が医療の必要な状態になったときに、公的機関などが医療費の一部を負担してくれるという、相互扶助の精神に基づいた制度です。

日本の医療保険制度の大きな特徴は、「国民皆保険」。つまり、すべての国民がなんらかの医療保険に加入しており、その保証を受けられることです。ちなみに、国民皆保険制度のないアメリカの場合、あまりに高額な医療費を払うことができずに自己破産に追い込まれる人が後を絶ちません。日本の医療保険制度は、世界に誇るべき素晴らしいものであるといえるでしょう。

医療保険の種類

では、医療保険制度には、どのようなものがあるのでしょうか。職域・地域、年齢などによって、大きく次のように分かれています。

被用者保険

[被保険者]
健康保険の適用事業所で働くサラリーマン・OL(民間会社の勤労者)
[保険者]
全国健康保険協会、健康保険組合

共済組合

[被保険者]
国家公務員、地方公務員、私学の教職員
[保険者]
各種共済組合

国民健康保険

[被保険者]
・健康保険・船員保険・共済組合等に加入している勤労者以外の一般住民
・厚生年金保険など被用者年金に一定期間加入し、老齢年金給付を受けている65歳未満等の人
[保険者]
市(区)町村

後期高齢者医療制度

[被保険者]
75歳以上の方および65歳~74歳で一定の障害の状態にあることにつき後期高齢者医療広域連合の認定を受けた人
[保険者]
後期高齢者医療広域連合

保険診療の適用範囲

みなさんもご存知の通り、病院で受けるすべての診療に保険が適用されるわけではありません。診療費用の一部を保険で賄える「保険診療」に対し、患者が診療費用の全額を負担する診療を「自由診療」といいます。

自由診療にあたるのは、厚生労働省が承認していない治療法や薬を使う場合などです。例えば日本未承認の最新の抗がん剤を使用する場合などは、自由診療となるため全額自己負担となります。

なお、保険診療と自由診療を併用することを混合診療といいます。日本では原則として混合診療は認められていませんが、例外もあります。

混合診療が認められているもののひとつが先進医療です。先進医療とは、厚生労働省が定める高度な医療技術を用いた治療のことで、将来的に保険診療の適用が検討されている技術のことをいいます。

先進医療の場合、通常の保険診療と共通する診察・検査・投薬・入院等の部分に関しては保険適用され、先進医療の部分は全額自己負担となります。

他には、差額ベッド代など、「選定療養」と呼ばれる保険療養を前提としないものも混合診療が認められています。

予防医療に保険適用は?

意外に思われる方もいるかもしれませんが、健康診断や人間ドックなど、ほとんどの「予防医療」は、保険適用されません。予防医療の重要性が叫ばれながらも、依然として治療重視の診療が行われがちな日本の医療が抱える問題のひとつです。

しかし、少しずつ変化も見られています。例えば「禁煙外来」。一定の基準を満たす禁煙治療に関して、2006年から保険適用が認められるようになりました。ニコチン依存症という病気の治療と捉えることもできますが、喫煙がさまざまな疾患のリスクとなっていることを考えると、広義の予防医療ということができるかもしれません。

医療のあり方に対する意識改革や法整備などにより、今後人間ドックなどの「二次予防」に保険の適用範囲が広がることに期待を込めながらも、自分次第でいつでも始められる生活習慣の改善などの「一次予防」にまずは取り組むことが、賢明といえるでしょう。

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