厚生労働省の「2015年のがん罹患と死亡予測結果」によると、膵臓は肝臓に次いで7番目にがんの罹患数の多い臓器となっています。そんな実態に比して、膵臓という器官が担っている役割やその特徴をしっかりと理解している人は少ないのではないでしょうか。そこで今回は、膵臓に関する基礎知識、膵臓病の予防法などをご紹介したいと思います。

膵臓の役割

膵臓は、胃の後方にある長さ20cmほどの左右に細長い臓器です。右側の膨らんだ部分は膵頭部(頭部)といい、十二指腸に囲まれています。左側の幅が狭くなっている部分は膵尾部(尾部)といい、脾臓に接しています。膵臓の真ん中は体部といい、膵管という細長い管が膵臓を貫いて網の目のように走っています。

膵臓には、食物の消化を助ける膵液の産生(外分泌機能)と血糖値の調節などをするホルモン(インスリンなど)の産生(内分泌機能)という2つの役割があります。

膵液は膵管によって運ばれ、主膵管という1本の管に集まります。十二指腸乳頭で、肝臓から総胆管を通って運ばれてくる胆汁と合流して、十二指腸へと流れていきます。

膵臓病の種類

膵臓病には急性膵炎、慢性膵炎などがあります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

急性膵炎

急性膵炎の症状は重症度によって異なりますが、典型例では上腹部の激しい痛みで始まり、次第に痛みが強くなり、数時間後にピークとなります。また上腹部の背中側の痛み(背部痛)も特徴的で、痛みと同時に吐き気や嘔吐を伴うことが多く見られます。この他に、食欲不信、発熱、腹部の張り、軟便、下痢も見られることがあります。ただし、まったく症状のないこともあります。重症の膵炎ではショック症状として意識の低下、血圧の低下、頻脈、チアノーゼなどが見られ、最悪の場合には死亡することもあります。

慢性膵炎

慢性膵炎の場合、膵臓の繊維化や外分泌(膵臓から腸に消化酵素を分泌)や内分泌(膵臓から血管にホルモンを分泌)の機能低下が起こります。慢性膵炎の症状としては、急性膵炎の症状のほか、外分泌機能の低下による体重減少、脂肪便(便が水面にあぶらのように広がる)、食欲低下、全身倦怠感などがあります。内分泌としてのインスリンの分泌機能低下による糖尿病となり、その結果として口渇・多尿などが見られることもあります。

膵臓内に石が見られること、膵臓から消化液を運ぶ管(膵管)の不規則な拡張が見られること、膵臓の外分泌(膵臓から腸に消化酵素を分泌する)機能が低下することなどが、慢性膵炎の診断の材料となります。

膵臓がん

膵臓にできるがんのうち、90%以上は膵管の細胞にできます。これを膵管がんといい、膵臓がんとは通常、この膵管がんのことを指します。

膵臓は、胃の後ろの体の深部に位置していることから、がんが発生しても症状が出にくく、そのことが早期の発見を難しくしています。

進行してくると、腹痛、食欲不信、腹部膨満感、黄疸、腰や背中の痛みなどを発症します。そのほか、糖尿病を発症することもあります。ただし、これらの症状は、膵臓がん以外の理由でも起こることがあり、膵臓がんであっても症状が起こらないこともあります。

膵臓病の原因と予防法

急性膵炎・慢性膵炎の膵臓病の原因には、アルコールの飲み過ぎが挙げられます。特に男性においては、急性膵炎の約半数、慢性膵炎の約80%弱がアルコールによるものといわれています。お酒をたしなむ場合は、適正な飲酒量(日本酒なら1合以下、ビールなら中ビン1本以下)を守るようにしましょう。

また、喫煙は膵臓がんの危険因子とされています。日本における膵臓がんのうち、喫煙を原因とするものは男性で約2割です。喫煙は膵臓がんのみならず、他のがんの危険因子にもなりますので、禁煙することが望ましいでしょう。

肉類、特に燻製または加工肉や飽和脂肪酸、血糖を高める食事なども膵臓がんのリスクとされていますので、摂取を控えることを心がけましょう。一方、ビタミンC、食物繊維の摂取などは、膵臓がんの危険率を低下させると言われています。果物や野菜を積極的に摂取するなど、バランスのよい食生活を心がけましょう。

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