タバコが万病の元であることは誰もが知るところ。実際にタバコの煙には約4,000種類の化学物質が含まれ、そのうち有害物質は200種類以上、発がん性物質の疑いがあるものは約60種類以上といわれています。

そのため、これまで喫煙者の多くが肺がんのリスクを気にかけてきましたが、近年、別の疾患が注目を集めるようになりました。それがCOPDです。

COPDは別名「タバコ病」とも言われ、その患者数は、男性18万3,000人、女性7万9,000人、計26万1,000人(厚生労働省「平成26年患者調査の概況」より)。喫煙者にとって大きなリスクとなる疾患と言えます。そこで今回は、COPDへの理解を深め、それを防ぐための対策をご紹介したいと思います。

COPDとは?

COPDは、“Chronic ObstructivePulmonary Disease”の略。日本語では「慢性閉塞性肺疾患」と言われています。COPDは、呼吸機能の低下を招く肺の病気です。主に長年の喫煙習慣を原因として発症します。元々は「慢性気管支炎」「肺気腫」という別の疾患として呼ばれていましたが、現在ではこの2つを総称して、「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」と呼ばれるようになってきました。

COPD発生のメカニズム

肺の奥にある小さな袋状の「肺胞」は、酸素と二酸化炭素の交換を司っています。ところが、長年タバコなどに含まれる有害物質を吸い込んでいると、この肺胞が少しずつ破壊されていき、ついには肺気腫になります。また、空気の通り道である気管支に慢性的な炎症が生じ、狭くなってしまい、吸った息をうまく吐き出せなくなります。

COPDの症状

COPDの主な症状は、階段の上り下りのときなどに息切れしたり、風邪でもないのに咳や痰が出るのが続いたりすることです。また、呼吸のたびに「ゼーゼー、jヒューヒュー」といった喘鳴がしたりします。

COPDの恐ろしいところは、初期は無症状でゆっくりと進行し、症状もありふれたものであるため、発見が遅れがちなところです。COPDが進行すると、少し動いただけでも息切れしたり、日常生活もままならなくなってしまいます。さらに進行すると、呼吸不全や心不全を起こす可能性もあるため、命にもかかわります。

また、その影響は肺だけでなく全身に及び、全身性炎症、心・血管疾患、骨粗鬆症、糖尿病などを併発しやすくなることが知られています。

COPDの診断

COPDの診断は、呼吸器内科を専門とする病院で、「スパイロメーター」という機械を使った肺機能検査によって行います。この検査では、どれだけ多くの空気を吸い込むことができ、どれだけ大量にすばやく空気を吐き出せるかを調べることができます。COPD患者は息が吐き出しにくくなっているため、1秒率70%未満の場合、COPDの疑いがあると診断されます。

COPDの治療・予防

COPDを根本的に治し、元通りの健康的な肺に戻すことは、現在の医学の力ではできません。そのため、少しでも早期にCOPDに気づき、適切な治療を開始して悪化を防ぐことが求められます。

COPDの治療の基本は、やはり禁煙です。タバコを吸っている限りは、COPDはどんどん進行してしまうからです。

依存性が強く、意思の力だけでは禁煙が難しい場合は、ニコチンバッチやニコチンガムなどのニコチン代替療法や、医師の指導のもとに非ニコチン製剤の飲み薬を使って禁煙するという方法もあります。

他の治療法には、ワクチンや薬物療法、呼吸リハビリテーションや酸素療法、外科・内視鏡手術などがあります。しかし、COPDを発症してしまってからではなく、なによりも大切なのは、COPDにかからないこと。つまり予防です。

COPDの何よりの予防法はもちろん禁煙です。冒頭でもご説明した通り、タバコはCOPDに限らず、肺がんをはじめとしたさまざまな疾患のリスクとなります。タバコはまさに、百害あって一利なし。タバコを吸っている人は、まず禁煙を始めてみませんか。それが今日から始められる、何よりの予防医療です。

スポンサーリンク