性感染症とは、性行為によって感染する感染症のことです。Sexually Transmitted Diseasesという英語の頭文字をとって、STDとも呼ばれています。

近年、20代を中心に梅毒の感染が急増するなど、予防意識の低下を示唆するような傾向も見られています。性感染症を予防するには、まずは性感染症のことを知ることが大切です。そこで今回は、さまざまな性感染症の症状などの特徴をご紹介したいと思います。

性感染症の種類

性感染症にはさまざまなものがありますが、ここでは代表的なものをいくつかご紹介します。

性器クラミジア感染症

日本で最も多い性感染症(STD)です。特に若年層の女性に多く見られます。成人では性行為により感染しますが、新生児が母親から産道感染するケースもあります。

症状としては、男性の場合は尿道炎を起こします。若年層の精巣上体炎の原因ともされており、排尿痛、 尿道不快感、そう痒感などの自覚症状があります。

女性では、子宮頸管炎、骨盤内付属器炎、肝周囲炎、不妊などを起こします。しかし女性の場合、自覚症状のない場合が多いため、無自覚のうちにパートナーに感染させてしまうこともあります。また、口腔性交により、咽頭へ感染するケースもあります。

性器ヘルペスウイルス感染症

性器ヘルペスウイルス感染症は、ヘルペスウイルス(HSV)の感染によって、性器やその周辺に水疱や潰瘍等の病変が形成される疾患です。

HSVに感染している相手との性交によって感染し、相手の性器に明らかな病変がある場合だけでなく、無症状でも性器の粘膜や分泌液中にウイルスが存在する場合には感染します。また口唇性交によって感染する場合もあります。

性器ヘルペスの特徴として、繰り返し再発し、根治が難しいこと、感染しても70〜80%は発症せず、無症状でウイルスを排出している場合が多いため、気づかずに次の相手にうつしてしまうということが挙げられます。

さらに、性器に潰瘍性病変を有すると、エイズの原因となるヒト免疫不全ウイルスをうつす、あるいはうつされる可能性があるため、エイズ予防の観点からも重要な疾患だと言えます。

尖圭コンジローマ

ヒトパピローマウイルス6、11型などが原因となるウイルス性性感染症です。性交またはその類似行為によって感染します。

生殖器とその周辺に、淡紅色ないし褐色の特徴的な形態の病変を示し、視診による診断が可能です。自然治癒が多い良性病変ですが、パピローマウイルスの型によっては悪性化する場合もあるので、注意が必要です。

一般的に自覚症状に乏しいものの、初発症状としては、外陰部腫瘤の触知、違和感、帯下の増量、掻痒感、疼痛などが起こります。

淡紅色〜褐色の乳頭状、鶏冠状、あるいはカリフラワー状の表面が刺々しく角化した隆起性病変が特徴です。

男性では陰茎の亀頭部、冠状溝、包皮内外板、陰嚢に、女性では膣、膣前 庭、大小陰唇、子宮口に、また男女とも、肛門及び周辺部、尿道口に好発します。20〜30%は3カ月以内に自然消退します。

梅毒

1943 年にペニシリンによる治療が成功して以来、発生は激減しましたが、その後、各国で幾度かの再流行が見られています。

感染経路の大部分は、菌を排出している感染者との粘膜の接触を伴う性行為や疑似性行為によるものです。

感染後3〜6週間程度の潜伏期を経て、時間の経過につれさまざまな症状が出ます。全身に移行すると、手掌・足底を含む全身に多彩な皮疹、粘膜疹、扁平コンジローマ、梅毒性脱毛等が出現したり、発熱、倦怠感等の全身症状に加え、泌尿器系、中枢神経系、筋骨格系の多彩な症状を生じる場合もあります。

晩期には、長い非特異的肉芽腫様病変(ゴム腫)、進行性の大動脈拡張を主体とする心血管梅毒、進行麻痺、脊髄癆等に代表される神経梅毒に進展します。

淋菌感染症

淋菌感染症は、淋菌の感染による性感染症です。淋菌は弱い菌で、患者の粘膜から離れると数時間で感染性を失い、日光や乾燥、温度の変化、消毒剤で簡単に死滅するため、性交や性交類似行為以外で感染することはまれです。

男性は主として淋菌性尿道炎を、女性は子宮頚管炎を起こします。男性の尿道に淋菌が感染すると、2~9日の潜伏期を経て膿性の分泌物が出て、排尿時に疼痛を生じます。しかし最近では、粘液性の分泌物が出る程度であったり、無症状であったりするケースもあります。

女性では男性より症状が軽く、自覚のないまま経過することが多いようです。

最近の疫学的研究では、淋菌感染によりHIVの感染が容易になると報告されており、HIV感染予防の観点からも重要な疾患であると言えます。

性感染症の予防

性感染症を予防するには、性感染症に感染している疑いがある相手や、不特定多数との性的交渉を持たないことが大原則であることは言うまでもありません。パートナーと性的交渉を行う場合においても、コンドームを使用するべきです。ただしコンドームを使用しても、すべての性感染症を防ぐことができる訳ではありません。また、口唇性交によって感染するものもあるので、注意が必要です。

性感染症は自分だけではなく、パートナーの体も危険に晒してしまうリスクを持った疾患です。無自覚のまま症状を悪化させてしまったり、感染を広めてしまったりしないためにも、定期的に検査を受けるよう心がけましょう。

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