生活習慣病の中でも、もっとも身近な脅威と言えるのが糖尿病です。厚生労働省の「2012年国民健康・栄養調査結果」によると、糖尿病が強く疑われる成人男女の数は、約950万人。また、糖尿病の可能性を否定できない「糖尿病予備群」は1,100万人。割合にして、男性の27.3%、女性の21.8%が、糖尿病かその予備群であることが明らかになっています。

糖尿病はさまざまな疾患の原因となるため、疾患を未然に防ぐという予防医療の一次予防の観点からも、糖尿病予防は大変重要です。そこで今回は、糖尿病の原因や合併症、その予防法についてご紹介したいと思います。

糖尿病とは?

糖尿病とは、血液中のブドウ糖が多くなってしまう疾患です。糖尿病という名称は、重症化すると血液中の糖が尿にあふれ出てしまい、甘い匂いがすることからつけられたといわれています。

食事によって吸収されたブドウ糖は、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンによって、細胞内に取り込まれます。しかしインスリンが不足したり、作用が低下したりすると、血液中にブドウ糖が残り、慢性的に高血糖が続く状態になります。これが糖尿病です

糖尿病には、Ⅰ型糖尿病とⅡ型糖尿病の2つがあります。Ⅰ型糖尿病は、インスリン依存型とも呼ばれます。自己免疫疾患などが原因で、インスリン分泌細胞が破壊されてしまうため、毎日インスリンの自己注射が必要です。

Ⅱ型糖尿病は、インスリン非依存型とも呼ばれます。遺伝的な体質に過食や運動不足などの生活習慣が重なって発症するケースが多く、インスリンの分泌量が不足したり働きが悪くなったりします。

他にも、妊娠糖尿病や特定の疾患やメカニズムによるものがありますが、糖尿病の多くはⅡ型です。

糖尿病の合併症

高血糖の状態が続くと、膵臓はよりたくさんのインスリンを分泌します。臓器によってはインスリンが過剰になっていまい、また全身の血管が傷み、そのことがさまざまな合併症を引き起こします。

糖尿病の合併症は大別すると、細い血管が傷ついて起こる疾患と、太い血管が傷ついて起こる疾患があります。

細い血管が傷ついて起こる疾患には、手足のしびれや感覚が鈍くなるなどの症状が起こる「糖尿病性神経障害」、腎臓の働きが悪化する「糖尿病性腎症」、目の血管が傷ついて視力が落ちる「糖尿病性網膜症」があります。これらは糖尿病の「3大合併症」と呼ばれています。太い血管が傷ついて起こる疾患には、脳卒中や心筋梗塞があります。

他にも、肺炎、歯周病、皮膚炎などを起こしやすくなるといわれています。また、がんや認知症とも関連があることが、最近の研究で明らかになりました。

糖尿病の予防法

糖尿病の危険因子には、加齢、家族歴、肥満、運動不足、血糖値の上昇が挙げられ、その他に、高血圧や高脂血症も独立した危険因子であるとされています。このうち、加齢と家族歴は改善できないため、肥満、運動不足、血糖値の上昇を改善することが、糖尿病の予防には欠かせません。

予防の軸となるのは、やはり食事と運動です。食事は、食べ過ぎ、飲み過ぎによる高カロリー摂取を避けることが大切です。特に動物性脂肪の多いものや砂糖の入った飲み物などは、とりすぎないように気をつけましょう。反対に野菜や大豆製品、海藻やきのこなどは、多くとるよう心がけましょう。

運動は、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動と、筋力トレーニングに大別されます。有酸素運動を行うと、筋肉への血流が増え、ブドウ糖が細胞の中に取り込まれ、インスリンの効果が高まり、血糖値が低下します。一方、筋力トレーニングによって筋肉が増えることでも、インスリンの効果が高まり、血糖値が下がりやすくなります。最近の研究では、これらを組み合わせることによって、より高い効果が生まれることが明らかになっています。

ウォーキングの場合、背筋を伸ばし、やや大股で膝を伸ばして、踵から着地するフォームが理想的です。軽く腕を振って少し汗ばむくらいのペースを保ちましょう。1回15〜30分間、1日2回、日常生活の歩行と合わせて一日一万歩程度を目標としましょう。

筋力トレーニングは、足や腰、背中の大きな筋肉を中心に、全身の筋肉を使ったものに取り組みましょう。1セット10回程度、週2、3回の筋トレを行うのが理想です。

ただし、強度の高い激しい運動は、アドレナリンなどの血糖値を上げるホルモンの分泌を増やし、血糖値が一時的に高くなってしまうことがあります。特に糖尿病の神経障害がある方、高齢者の方、循環器系の疾患のある方は、体に負担をかけすぎないよう気をつけましょう。

食事の改善も適度な運動も、何より大切なのは継続することです。あまり困難な目標を立てずに、楽しみながら生活習慣を改善し、糖尿病予防に努めましょう。

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