「老い」は誰にでも訪れるもの。そう考えると、加齢を最大の危険因子とする認知症は、誰もがそのリスクにさらされている疾患だと言えます。

厚生労働省の調べによると、5~69歳での認知症の有病率は1.5%。以後5歳ごとに倍に増加し、85歳では27%に達します。今後さらに高齢化が進み、全人口における高齢者の割合が高まるにつれ、認知症の有病者数は加速度的に増えていくことが予想されます。

認知症は社会全体で取り組むべき問題です。そのためには、まず認知症に対する理解を深める必要があります。

認知症の種類

認知症には、その原因などにより、いくつかの種類があります。ここでは代表的な4つの種類の認知症をご説明します。

アルツハイマー型

脳内にたまった異常なたんぱく質により神経細胞が破壊され、脳が萎縮してしまう疾患です。

軽度のもの忘れから始まり、記憶障害を含む複数の認知機能が持続的に低下し、やがて時間や場所の感覚がなくなっていきます。発症や進行は緩やかです。

段取りを立てられない、気候にあった服を選べない、薬の管理ができない等、以前できていたことができなくなり、日常生活に支障をきたします。病気が進行すると、歩行障害も起こります。

また、昔のことはよく覚えているのに、最近のことは忘れてしまうという傾向があります。妄想、徘徊、せん妄等が多いのも特徴です。

脳血管性認知症

脳梗塞や脳出血によって脳細胞に十分な血液が送られずに、脳細胞が死んでしまう疾患です。脳血管障害が起こるたびに、段階的に進行します。

脳血管障害が発生した脳の領域によりさまざまな症状が起こりますが、記憶障害、言語障害等が出やすく、多くの場合、階段状に進行していきます。アルツハイマー型認知症と比べ、比較的早期から歩行障害が出やすいのも特徴です。主な原因に、高血圧や糖尿病などの生活習慣病が挙げられます。

レビ-小体型認知症

脳内にたまったレビ-小体という特殊なたんぱく質により、脳の神経細胞が破壊されることで起こる疾患です。

認知機能が激しく変動し、現実にはないものが見えるなまなましい幻視や、手足が震えたり筋肉がこわばったりするパーキンソン症状が現れます。また歩幅が小刻みになり、転びやすくなります。

前頭側頭葉型認知症

脳の前頭葉や側頭葉で神経細胞が減少して、脳が萎縮する疾患です。主に初老期に発症します。

毎日決まったコースを散歩する常同的周遊(周徊)や、同じ時間に同じ行為を毎日行う時刻表的生活が特徴です。

感情の抑制がきかなくなったり、社会のルールを守れなくなってしまい、万引きや盗食などの反社会的行動を起こす場合があります。

認知症を予防するには?

最も患者数の多い認知症であるアルツハイマー病の場合、症状が現れる十数年前から、脳内ではタンパク質の異常な蓄積が始まっています。そのため、認知症と診断されるときには、すでにかなりの神経細胞が機能不全に陥っている可能性が高いため、そこからの予防対策は非常に難しいということがいえます。認知症を予防するには、その前段階である「軽度認知機能障害」の時点で、認知機能低下を抑制するための対策を打つことが必要です。

では、認知症を予防するための手段には、どのようなものがあるのでしょうか。「認知症予防・支援プログラム」として、レクリエーションや音楽、調理などが推奨されたりもしていますが、はっきりとした予防効果はまだ確認されていません。

科学的根拠により、認知機能低下を予防する可能性が報告されているのは、継続的なウォーキングやゲーム要素を取り入れた運動です。

ウォーキングの具体的な取り組み方としては、1回90分から120分程度、週1回くらいから始めるのがオススメです。最終的な目標として、一日の生活歩数7,000~8,000歩を週5日、1日合計30分の早歩きを週3日以上続けていくと良いでしょう。

年齢を重ねてからウォーキングなどの運動を始めることは、素晴らしいことです。ただ、できる限り若いうちから運動の習慣を持つことが、もっとも理想的な認知症対策と言えるのではないでしょうか。

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