夏は一年のうちでも、食中毒の発生しやすい季節のひとつ。飲食店での食事だけでなく、家庭での調理や食事にも注意が必要です。

厚生労働省の調べによると、国内での食中毒の届出件数は年間約1,500件、人数にして約30,000人とされています。しかしこれらはあくまで届け出られた数字のため、実際には100〜150倍の食中毒が発生していると言われています。

特に子どもやお年寄りの場合、食中毒が重篤化し、死に至る場合もあります。そんな食中毒の危険から身を守るため、その原因と予防法をご紹介したいと思います。

食中毒の原因

食中毒の主な原因は、「細菌」と「ウイルス」です。この両者は相反する特性を持っています。細菌は、温度や湿度など一定の条件が揃うと、食べ物の中で繁殖し、その食べ物を口にすることによって発症します。それに対しウイルスは、低温や乾燥した環境下で長く生きることができます。ウイルスは食べ物の中で増殖するのではなく、食べ物を通じて体内に入った上でヒトの腸管内で増殖し、食中毒を引き起こします。

そのような特性から、夏は細菌による食中毒が多い季節、冬はウイルスによる食中毒が多い季節ということが言えます。食中毒の原因となる主な細菌とウイルスには、以下のものがあります。

腸管出血性大腸菌 (O157やO111など)

牛や豚など家畜の腸の中に生息している病原大腸菌の一種です。O157やO111などがあります。毒性の強いベロ毒素によって、腹痛や水のような下痢、出血性の下痢などを引き起こします。
生の状態や加熱が不十分な状態で、腸管出血性大腸菌が付着した肉を口にすると、食中毒を発症します。乳幼児や高齢者などは重症化し、死に至る場合もあります。

カンピロバクター

牛、豚、鳥、猫、犬などの腸の中にいる細菌です。生の状態や加熱が不十分な状態で、カンピロバクターが付着した肉を口にすると、食中毒を発症します。主な症状は、吐き気、腹痛、水のような下痢などです。初期症状として、発熱、頭痛、筋肉痛、倦怠感などがあります。

サルモネラ属菌

牛、豚、鳥、猫、犬などの腸の中にいる細菌です。牛・豚・鶏などの食肉や卵、ペットやネズミなどによって菌が付着した食べ物を口にすることで、半日〜2日後に食中毒を発症します。激しい胃腸炎、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢などが主な症状です。

ブドウ球菌

ヒトの皮膚やのどなど、自然界に広く生息している細菌です。調理する人間の手や指に傷があったり、傷口が化膿したりしていると、食品を汚染する可能性が高まります。汚染された食品の中で菌が増殖し、毒素がつくられることで食中毒を引き起こします。酸性やアルカリ性の環境でも増殖し、発生した毒素は熱にも乾燥にも耐えます。ブドウ球菌の付着した食物を口にすると、3時間前後で急激な嘔吐、吐き気、下痢などが起こります。

ノロウイルス

手指や食品などを介して口から体内に入ることで感染し、腸の中で増殖して、嘔吐、下痢、腹痛などを引き起こします。ノロウイルスに汚染された二枚貝などの食品を十分加熱せずに口にしたり、井戸水を飲んだりすることによって感染します。また、ノロウイルスに感染した人間の手やつば、糞便、嘔吐物などによって二次感染する場合もあります。

また、細菌とウイルスの他に、毒キノコやフグなどの自然毒、アニサキスなどの寄生虫なども食中毒の原因となります。

食中毒を防ぐ方法

家庭での食中毒を防ぐためには、時系列ごとに6つのポイントで対策をとることが大切です。順番にご紹介します。

1、買い物
・賞味期限の確認
・肉や魚などの生鮮食品や冷凍食品は最後に買う
・生鮮食品はビニール袋に分けて入れ、汁がつかないようにする
・買い物の後、なるべく早く家に帰る

2、保存
・生鮮食品はすぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れる
・肉、魚、卵などを触るときは、前後に必ず手を洗う
・冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は-15℃以下をキープする
・冷気の循環が悪くならないよう、冷蔵庫や冷凍庫にものを詰め過ぎない

3、下準備
・調理前に手を洗う
・食材を流水で洗う
・肉、魚、野菜などの食材別に包丁やまな板を使い分ける
・冷凍食品は自然解凍するのではなく、電子レンジで解凍する
・冷凍食品は、何度も解凍と冷凍を繰り返さない
・ふきんやタオルは煮沸した上で乾燥させる
・調理器具は洗った後、熱湯をかけて殺菌する

4、調理
・調理の前に手を洗う
・肉や魚は中心部を75℃で1分間以上を目安に加熱する

5、食事
・食べる前に手を洗う
・料理を長時間、室温で放置しない

6、残った食品
・温め直すときは、十分に加熱する
・時間が経っているもの、少しでもあやしいと思ったものは捨てる

食中毒の予防対策は、どれも難しいものではありません。手を洗うことなどをはじめ、面倒臭がらずに実践できるかどうか次第です。これまでよりも少し意識的に衛生面に気を使うことで、安全に食を楽しみましょう。

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