自己免疫疾患とは

私たちは普段、細菌やウイルス、花粉や粉塵など、体に害を及ぼす異物に囲まれて生きています。その影響を受けることなく、毎日を送ることができているのは、体の中に「免疫」と呼ばれる防御システムが備わっているからです。

ところが免疫システムが正常に機能しなくなると、自分自身の正常な細胞や組織を異物とみなして攻撃してしまいます。これを「自己免疫疾患」と呼びます。

自己免疫疾患の種類

自己免疫疾患は、全身の組織に炎症が起こる「全身性自己免疫疾患」と、特定の臓器を攻撃する抗体によって臓器の機能に影響が出る「臓器特異的自己免疫疾患」の2つに大きく分かれます。

この2つのタイプの疾患は、発症のメカニズムが異なるとされており、前者は体中のどこにでもあるような抗原に免疫反応が起こり、発症します。後者は、各臓器の中の特定の組織中の抗原に対して自己免疫反応が起こり、発症します。どちらの場合も、標的となった臓器や組織に慢性的な炎症が起こり、リンパ球や食細胞が浸潤し、組織が破壊されます。

ここで、それぞれの代表的な疾患を見ていきましょう。

全身性自己免疫疾患

・関節リウマチ
「関節リウマチ」は,多関節に滑膜の炎症と増殖を生じる慢性疾患です。朝のこわばり、関節の疼痛や変形、さらに発熱・貧血など関節以外の症状もみられます。30〜50歳代の女性に多い疾患ですが、子どもや高齢者に発症するケースもみられます。


・全身性エリテマトーデス

「全身性エリテマトーデス」は、膠原病の代表的な疾患です。全身性の炎症性疾患であり、若い女性に発症することが多く、再発・寛解をくり返すという特徴があります。多くの臓器に障害が出てしまい、多種類の自己抗体が検出されます。

・シェーグレン症候群
「シェーグレン症候群」は、涙や唾液を作りだしている涙腺、唾液腺などの外分泌腺に慢性的に炎症が生じることで、涙や唾液の分泌が低下し、乾燥症状をもたらす自己免疫性疾患です。女性に多く見られ、発症年齢は50歳代がピークですが、子どもからお年寄りまで、さまざまな年齢で発症します。

シェーグレン症候群には、単独で発症する原発性シェーグレン症候群と、他の膠原病に合併して発病する二次性シェーグレン症候群があります。二次性シェーグレン症候群は、関節リウマチや全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎・皮膚筋炎などに起こります。

臓器特異的自己免疫疾患

・ギラン・バレー症候群
「ギラン・バレー症候群」は、急に腕や脚がしびれて力が入らなくなる病気で、通常2〜3週間以内に症状がピークとなり、その後回復するという経過を辿ります。ほとんどの場合、病気のはじまる1〜3週前に、風邪をひいたり下痢をしたりという感染症の症状があります。

腕や脚の筋力低下以外に、感覚が鈍くなったり、顔が動かなくなったり、眼が動かなくなって物が二重に見えたり、しゃべったりものを飲み込んだりすることが難しくなることもあります。

・自己免疫性肝炎
「自己免疫性肝炎」は、通常は慢性的なに経過を辿る肝炎で、肝細胞の障害が起こります。血液検査では、ASTやALTが上昇します。中年以降の女性に発症することの多い疾患です。

通常は自覚症状がなく、健診などで偶然発見されることが多い傾向があります。急性肝炎様に発症する場合、倦怠感、皮膚の黄染、食欲不振などの症状がみられます。進行した状態で発見される場合もあり、肝硬変へ進行してしまうと、下肢のむくみ、腹水による腹部の張りや吐血などの症状が起きることがあります。

・天疱瘡
天疱瘡は、自分の上皮細胞を接着させる分子に対する抗体により、皮膚や粘膜に水疱(みずぶくれ)やびらんが生じる自己免疫性水疱症です。

ほとんどの症例は、尋常性天疱瘡と落葉状天疱瘡に分類されます。 尋常性天疱瘡では、口腔を中心とした粘膜に水疱とびらんが生じます。痛みを伴い、病変が広範囲になると食事がとれなくなることもあります。粘膜優位型では粘膜症状が主体となりますが、粘膜皮膚型では全身に水疱・びらんが広がって、皮膚の表面から大量の水分が失われたり、感染を合併する場合があります。

落葉状天疱瘡では、頭、顔面、胸、背中などに落屑(皮膚がフケ状に剥がれたもの)を伴う赤い皮疹(紅斑)や浅いびらんが生じます。重症例では全身の皮膚に拡大することもありますが、粘膜症状は見られません。

自己免疫疾患を予防するには?

自己免疫疾患はさまざまなことが引き金となって起こります。例えば、体内の正常な物質がウイルスや薬剤、日光、放射線などの影響で変化した場合です。変化した物質を免疫システムが異物と認識してしまうことがあるのです。

体にもともと存在する物質に似た異物が体外から入る場合もあります。免疫システムが異物を攻撃する際に、似た体内物質も標的にしてしまいます。

このように、自己免疫疾患の原因にはさまざまなものがあるため、予防は一筋縄ではいきません。しかし、まずは正しい知識を身につけることが、予防医療実践の第一歩といえるでしょう。

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