整形外科疾患とは

「整形外科疾患」とは、骨・関節・筋肉などの運動器や、脊椎・脊髄神経・末梢神経などの疾患の総称です。整形外科疾患の大きな特徴としては、加齢と深い関わりを持っていることがあります。

高齢者の整形外科領域患者数は、1,500~2,000 万人ともいわれ、ほとんどの方が何らかの整形外科的疾患を抱えていると思われます。

最も多い症状は痛みです。その他、麻痺や痺れなどによる歩行困難、動かなくなってしまう機能障害、関節が曲がってしまう変形が挙げられます。

整形外科疾患は直接命に関わるものは少ないものの、QOL(生活の質)の低下を招いてしまう疾患であるといえます。

整形外科疾患の種類

整形外科疾患の種類は部位や症状など多岐に渡りますが、ここでは代表的なものをいくつかピックアップして紹介します。

関節痛

関節痛を引き起こす要因はたくさんありますが、もっとも多いのは「変形性関節症」と呼ばれる疾患によるものです。

変形性関節症は、ケガや加齢などにより、クッションの役割を果たす軟骨がすり減ることによって起こります。軟骨がすり減ると、体はそれを修復しようとしますが、正常に修復ができず、トゲのような異常な形の骨(骨棘)となって増殖してしまう場合があります。そうすると関節内の組織が炎症を起こし、水が溜まり(関節水腫)、強い痛みを引き起こします。

もっとも多いのは、酷使されやすい膝に起こる 「変形性膝関節症」です。肥満の方は膝に負荷がかかりやすいため、特に注意が必要です。

ぎっくり腰

ぎっくり腰とは、重いものを持ち上げたり、無理な姿勢をとったときなどに突発的に発生する腰痛のことです。正式には「急性腰痛症」といいます。

ぎっくり腰の多くは腰の捻挫です。腰椎を支える靭帯が、急激な負荷に耐えきれず損傷することによって起こります。中には、筋肉や軟骨を損傷しているケースもあります。

痛みが治まるまで、軽い場合で2~3日、重傷の場合だと2週間~3ヶ月程度かかることもあります。無理をすると治るのが遅くなったり、慢性化してしまう可能性がありますので、痛みがある間は安静にしておくことが大切です。

四十肩・五十肩

痛くて腕が上がらなくなる四十肩・五十肩。正式には「肩関節周囲炎」といいます。はっきりと原因は解明されてはいませんが、加齢によって肩の関節や筋肉、肩周辺の組織が固くなったり縮んだりすることによって、炎症や痛みを引き起こすものと考えられています。

猫背の人は重心が前のめりになることで体の歪みが生じやすいため、四十肩・五十肩のリスクが高まるといわれています。また、スポーツで肩を酷使した経験のある人も発症しやすいといわれています。

椎間板ヘルニア

背骨の骨と骨の間には「椎間板」という軟骨があります。椎間板は、衝撃を受けとめるクッションの働きをしており、スムーズな動きを可能にしています。

椎間板は、中心部分のやわらかい「髄核(ずいかく)」と、それを包み込む「繊維輪軟(せんいりんなんこつ)」という軟骨部分で構成されています。

「椎間板ヘルニア」とは、外側の軟骨部分が損傷し、やわらかい髄核が飛び出してしまった状態のことです。飛び出した椎間板は背骨を通っている神経を圧迫して、痛みを発生させます。

むち打ち症

「むち打ち症」は、主に自動車の追突・衝突・急停車などによって、首が鞭のようにしなることによって起こる症状の総称です。正式には「頸椎捻挫」「頸部挫傷」「外傷性頸部症候群」などと呼ばれます。

むちうち症全体の70~80%を占めるといわれているのが、頚椎の周りの筋肉や靭帯、軟部組織の損傷によって起こる「頸椎捻挫型」です。首を伸ばすと、首の後ろや肩の痛みが強くなります。

むち打ちの代表的な症状は首の痛みですが、頭痛・体のだるさ・吐き気・めまい・肩こり・背中の痛みなどの症状が起こる場合もあります。

骨粗鬆症

「骨粗鬆症」とは、骨の強度が低下して、骨折しやすくなる疾患のことをいいます。骨粗鬆症になると、転んだりくしゃみをしたりなど、ちょっとした衝撃で骨折してしまう可能性があります。

骨粗鬆症の患者の80%以上は、女性といわれています。女性ホルモンの一種であるエストロゲンには、骨の新陳代謝の際に、骨からカルシウムが溶けだすのを抑制する働きがあります。そのため、閉経期を迎えて女性ホルモンの分泌が低下すると、急激に骨密度が下がってしまうのです。

無理なダイエットによる栄養不足や運動不足、喫煙や過度な飲酒なども骨粗鬆症のリスクになるため、注意が必要です。

整形外科疾患を予防するには

整形外科疾患の多くは、加齢による体の変化や突発的な事故によって起こるものであるため、未然に予防するのは困難であるということがいえます。しかし、少しでもそのリスクを減らすことはできるはずです。

予防の基本となるのはやはり食生活。関節痛ならグルコサミン、骨粗鬆症ならカルシウムというように、さまざまな栄養素を積極的に摂取することが大切なのは、他の疾患の予防と同様です。

生活習慣から予防医療に取り組むことで、年齢を重ねてもQOLの高い人生を謳歌しましょう。

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