循環器疾患とは?

循環器疾患とは、血液を全身に循環させる臓器である心臓や血管などが、正常に働かなくなる疾患です。厚生労働省の平成28年(2016)人口動態統計の年間推計によると、日本人の死因の2位は心疾患、4位は脳血管疾患。これらはともに循環器疾患であり、いかに命にかかわる疾患であるかがわかります。

循環器疾患の恐ろしさは、それだけではありません。たとえ一命をとりとめたとしても、寝たきりや後遺症に悩む人は多く、生活の質(QOL)を著しく低下させてしまうのです。またその治療や介護などに必要なコストが、国民医療費を圧迫する大きな要因にもなっています。

循環器疾患の種類

循環器疾患は、心疾患・脳血管疾患・動脈瘤・高血圧などに分類されます。

ここで、代表的な循環器疾患を順に見ていきましょう。

・虚血性心疾患

心臓を構成する筋肉を心筋といいますが、その心筋に酸素と栄養を送る冠動脈に障害が起きる病気を、「虚血性心疾患」といいます。虚血性心疾患は、「狭心症」と「心筋梗塞」の2つに分かれます。

狭心症とは、血管が細くなることによって、心臓の筋肉が酸素不足となる疾患のことをいいます。激しい運動や階段の上り下りなどにより酸素不足が起こり、胸の中央から左側にへ締めつけるような痛みの発作が出ます。

心筋梗塞とは、冠動脈の動脈硬化が進み、タバコや高血圧などの要因により血管に溜まった脂質成分が破裂することで血栓が急速に形成され、そこから先への血液の供給が止まってしまう疾患のことです。痛みは通常30分以上続きます。酸素が届かなくなると心筋の一部は壊死してしまう可能性があるため、治療には一刻の猶予も許されません。

・脳血管疾患

「脳血管疾患」とは、脳の血管のトラブルによって脳細胞が破壊される疾患の総称です。脳血管疾患は、「出血性脳血管疾患」と「虚血性脳血管疾患」の2つに分類され、「脳卒中」とも呼ばれています。

出血性脳血管疾患には、脳の奥深くの細い血管に加齢や高血圧によって小さなこぶができ、これが破裂して出血が起こる「脳出血」と、脳を覆っている軟膜とその上のくも膜の間で出血が起こる「くも膜下出血」があります。

虚血性脳血管疾患の代表例は、「脳梗塞」です。脳梗塞は、動脈の内腔が血栓によってつまり、そこから先に血液が流れなくなる疾患です。血液の流れのなくなった部分の脳は、酸素や栄養素が不足し、脳細胞が壊死してしまいます。

・大動脈瘤

血管組織の損傷により、動脈内腔が部分的または全体的に拡張してこぶを形成する疾患を、動脈瘤といいます。この動脈瘤が、心臓の左心室から全身に向けて血液を送り出している太い血管である大動脈に生じたものが「大動脈瘤」です。大動脈瘤を放置すると、破裂して大出血を起こし、死に至る危険性があります。

動脈瘤の位置が横隔膜よりも上のものを「胸部大動脈瘤」、横隔膜より下のものを「腹部大動脈瘤」といいます。

・高血圧症

高血圧とは、安静状態での血圧が慢性的に正常値よりも高い状態のことです。くり返し測定を行い、診察室血圧で最高血圧が140mmHg以上、または最低血圧が90mmHg以上の場合、高血圧と診断されます。

高血圧になると血管に常時負担がかかるため、血管の内壁が傷ついたり、柔軟性を失い固くなったりして、動脈硬化を起こしやすくなります。 動脈硬化が進むと、脳卒中や心疾患を引き起こす可能性があります。

循環器疾患を予防するには?

では、循環器疾患から身を守るにはどうすればよいのでしょうか。虚血性心疾患と脳卒中を例にとると、虚血性心疾患の危険因子は、高血圧・喫煙・高脂血症、脳卒中発症の危険因子は、高血圧・喫煙・耐糖能異常・多量飲酒となっています。
従って、高血圧・喫煙・耐糖能異常・多量飲酒・高脂血症への対策が重要となります。

大きな因子である高血圧の予防のためには、肥満予防、減塩、カリウムの摂取、運動等が有効だとされています。日本人は塩分を摂り過ぎる傾向があるため、特にポイントになるのは減塩です。日本高血圧学会は、1日6g未満の食塩の摂取量を推奨しています。また、WHOではすべての成人の減塩目標を5gとしています。

しかし塩気の強い味付けに慣れている人にとって、薄味はどうしても物足りなく感じてしまうもの。上手な減塩のコツは、塩気を他の味わいで補うことです。だしの旨味やスパイスの辛味、酢や柑橘の酸味などをうまく使えば、たとえ塩気を減らしたとしても、味が薄いとは感じないはず。おいしく楽しく減塩に、予防医療に取り組んでみませんか。

スポンサーリンク